2022年9月17日 1面
【ルーマニア・ブカレスト15日=栗田博幸】公明党ウクライナ避難民支援・東欧3カ国調査団(団長=谷合正明参院幹事長)は15日午前、三つ目の訪問国となるルーマニアに到着した。同日午後からは、首都ブカレストで国内最大規模の避難民センターを視察し、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のザパタ・ルーマニア事務所長らとウクライナ避難民から求められている具体的な支援内容を確認した。
■避難生活の長期化に備え
同センターでは、UNHCR主導で給付金の支給や医療、心理ケア、就労支援などを提供する複数の国際機関・NGOのサービスをワンストップで受けることができる。支援物資センターも隣接しており、1日当たり1000人ほどの避難民が利用しているという。
■冬季を前に給付金増額も
ザパタ所長はセンターを案内しながら、日本政府による緊急人道支援がルーマニアのUNHCRでも活用されていることを説明。避難民の生活を支えるために必要な支援として、緊急で現金給付が行われていることを紹介した上で、「これから冬になると生活に必要なお金が増える。物価も高騰しているので給付金を増額する方針だ」と述べた。
谷合団長は、日本でも身寄りのない避難民に対する生活費支給の期間を延長したことに言及しながら、「UNHCRの給付金事業も参考にしたい」と語った。
その後、党調査団の一行は首相府を訪れ、ウクライナ避難民を担当するトゥルザ首相府補佐官・戦略的人道支援調整官と会い、避難民の長期滞在に関する課題などについて意見交換した。
トゥルザ補佐官は、ロシアによるウクライナ侵略が始まってから200万人以上の避難民がルーマニアの国境を越え、今も約8万6000人が国内にとどまっていることから「中長期的な視点から避難民の自立支援が重要となっている」と指摘。そのためにも、住居や雇用、子どもの教育などの課題に取り組んでいると説明した。
これに対し谷合団長は、「ウクライナ危機は東アジアの安全保障においても憂慮すべき事態だ」と強調。日本も課題を共有しながら、ウクライナに対する人道支援や対ロシア制裁に取り組んでいくと語った。
このほか、一行は国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」が子どもの保護担当者向けに行っている講習会などを視察した。