○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
冒頭、能登半島地震でお亡くなりになられた方々に心から哀悼の誠をささげます。また、被災された全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
総理、今日の予算委員会は政治資金問題がテーマでございます。与党自民党の現職国会議員が逮捕されたこと、また関係者八人が立件されたことは言語道断であり、極めてゆゆしき問題であります。国民の政治に対する不信は日ごとに高まっています。政治の信頼の行き場が失われております。このことに私たち公明党は危機感を持っています。発端は自民党派閥の政治資金問題です。まず、自民党が自浄作用を発揮していくべきです。
その上で、政治の信頼の回復に向けて、連立を組む私たちにも、また与野党にも共通に突き付けられた課題であると私たちは認識しております。だからこそ、政治資金規正法の具体的な改正案を盛り込んだ党独自の政治改革ビジョンをどの党よりも先駆けて取りまとめて、議論の土台を示しました。本日の予算委員会集中審議を政治改革国会のスタートとしていかなければなりません。
一九九九年に、私たちは自由民主党と連立政権を組みました。それ以来、例えば、政治家個人に対する企業・団体献金の禁止、あっせん利得処罰法の制定、また一円以上の政治資金の、領収書のですね、公開の義務付け、こうしたことを実現してまいりました。
ただ、実現していないものもあります。二〇〇九年、当時、民主党政権下、野党であった私たち公明党は、政治家の監督責任を強化するための政治資金規正法の改正案、これを国会に提出いたしました。審議入りいたしましたけれども、残念ながら、当時、与党第一党の賛同を得られず廃案となりました。
そして、今回、政治不信を脱却するための法改正をしていかなければなりません。与野党共通のルールを作るためには、議席過半数を占めている与党第一党の賛同が必要なんです。それは自民党さんなんです。私たちは、同じ与党として言うべきことをしっかりと言ってまいります。総理には、改革に向けた不退転の姿勢を貫いていただきたいと思います。
それでは、説明責任と政治責任から総理にお尋ねいたします。
なぜ不記載にする必要があったのか、またそのお金を何に使っていたのか。各派閥の幹部らが国民に十分説明しているかとのマスコミの質問に対して、九二%の人が思わないと答えた。また、関係する国会議員の責任の取り方は十分でない、民間ではあり得ない、これは大方の国民の声であります。
自民党さんの中間とりまとめでは、関係者による明確な説明責任に加え、あるべき政治責任についても結論を得ると明記されました。
総理に伺います。
まず、問題の全容です。何が問題だったのでしょうか。関係者の説明責任について、その場は、会見のみならず、国会の場も否定しないということなのでしょうか。刑事責任以外に政治責任もあると思います。責任を負う関係者というのは派閥幹部以外の方々も含まれているのでしょうか。
以上、説明責任と政治責任について、自民党総裁でもある総理から国民に対して説明を求めたいと思います。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、今回の一連の問題において最大の問題点は、この現行の法律ですら遵守が徹底されなかったということ、すなわちコンプライアンスの欠如であったと考えます。それ以外にも様々な問題はありますが、まずこれが最も大きな問題であったと考えます。
その上で、この実態把握に努めなければならないということで、まずは検察のこの捜査によって判断が下された、法的責任について判断が下されたわけですが、それに基づいて政治資金収支報告書の修正が行われている。その上で、党としても説明責任と、そして政治責任を果たしていかなければならない、このように思っています。
そして、御質問として、この説明責任を果たす場、国会においてこの説明責任を果たす、これも当然国会において御判断をいただいた上で、そうした場も含めて説明、適切な説明責任を果たしていく、重要なことでありますし、党として実態把握を進め、説明責任や政治責任を考える上において、関係者について、まずはこの問題に深く関わった関係者から聞き取りを行っていきたいと思いますが、全体像を把握するために必要な人間については聞き取りを行う、こうした取組は党としても行ってまいります。
○谷合正明君 中間報告に責任の結論を得ると明記したからには、御党の実態解明、これをしっかりと進めていただかなきゃならないし、何よりも自浄作用を発揮していただきたいと思います。
そして、今回の問題の本質について、総理は、コンプライアンスの欠如であったと答弁がございました。それでは、再発防止策の肝は何だと認識しておられるのでしょうか。
中間とりまとめでは、自民党内の運用面について記載されております。しかし、法制度の具体的な論点や在り方については示されておりません。国民が求めていることは、派閥の解消ではない、不正を根絶するための法改正です。与野党で真摯に議論臨むというのであれば、まずは自民党の案をしっかり出していただくことではないでしょうか。
総理の決断だと思います。この全体像をどうしていくべきなのかということについて、ここからがこの国会での議論のスタートになってまいります。今、各党で提案を取りまとめております。自民党さんの案について、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 自民党の中間とりまとめについては、まず実態把握、これが重要だということと併せて、再発防止に向けて自民党自らができること、運用面でのこの改革、対応、この政策集団の政治資金パーティーの禁止など、こうした運用面での取組について明らかにするとともに、制度面での対応、法律改正等を伴う、こうした制度面の改革についても真摯に取り組む、これを確認しています。自民党においても、政治資金の透明化、公開性の向上、そしてこの責任体制の厳格化、こういった点を中心に、こうした法改正を伴う制度改革についても真摯に取り組む、こういったことを明らかにしています。
この全政党共通のルールを議論するわけでありますので、自民党も、こうしたこの議論に当たりまして、自らの案、今申し上げました基本的な考え方に基づいてこの整理をした上で、各党との協議に臨んでいきたいと考えます。
○谷合正明君 案を整理した上で各党との協議に臨みたいという答弁でございましたが、案をしっかりと出していただきたいと思います。
私たちは、今月十八日に先ほど申し上げました政治改革ビジョンを打ち出しました。(資料提示)政治資金規正法の趣旨でありますけれども、これは、政治資金の流れを広く国民に公開し、その是非についての判断は国民に任せるというものであります。その趣旨にのっとりまして、私たちの提案というのは、透明性向上と罰則の強化というものであります。
具体的には、パーティー券の支払者名の公開基準を五万円超に引き下げる、入金方法を口座振り込みに限定すること、政策活動費の使途公開義務付け、収支報告書のデジタル化、政治資金を監督する第三者機関の設置を訴えました。さらに、政治家も責任を負う罰則の強化を掲げました。そのほか、調査研究広報滞在費の使途の明確化と公開、未使用分の返納、選挙違反により当選無効となった際の歳費返納の義務付け、分党、解党する際に、資金を別の党、政治団体に寄附することを禁止し、政党交付金を返納することなどを掲げました。
午前中の衆議院で同僚議員が質問いたしましたが、共通の質問になりますが、それらの中で私たちが一番訴えたい内容というのは罰則の強化です。
具体的に、収支報告書について、代表者の政治家に確認書を提出させて、虚偽記載などがあった場合に、会計責任者の選任、監督のいずれか一方でも相当の注意を怠っていれば代表者を罰金刑に処すといたしました。罰金刑となれば公民権は停止されます。
現行法は、結果的に政治家の責任逃れを許してしまっています。中間とりまとめでは、会計責任者が逮捕、起訴された場合に議員を処分できるよう党則を改正するとのことでありますが、党則だけでは十分ではありません。法律面でも変えるべきです。
総理、我々の改革の方向性に、午前中の答弁では共感できるというお答えでありましたが、賛同できるということですね。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の政治改革ビジョンですが、この中でも、この口座振り込みですとか監査ですとか、それから今おっしゃった責任体制の厳格化ですとか、こういった点については、まず自民党としてできることはやるとして、運用面での改革として中間とりまとめの中にこれ明記をしています。
まず、自民党としてできることはやるわけでありますが、あわせて、法律改正ということになりますと、自民党のみならず全ての政党が従うこの共通のルールを作るということでありますから、今申した点も含めて、自民党として、この法改正、全ての政党が従うルール作成に向けても真摯に貢献していきたいと考えています。
是非、各党とも、各党とも、こうした点についても議論を行ってまいりたいと考えます。
○谷合正明君 罰則の強化について、もう少し踏み込んだ御答弁をいただきたいと思います。
二〇一〇年の参院選の自民党の選挙公約には、政治家が違法行為を秘書に責任転嫁し逃れることがないよう、政治家の監督責任を強化しますと、我々と共通の認識に立っておられます。また、マスコミの世論調査でも、連座制を導入すべきという声が自民党支持層でも八割ということであります。
改めて、この罰則の強化についてでございます。総理のリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 関係者の責任体制を厳格化することによって抑止力を強化していくという考え方については我々も共感いたします。
そして、どういった形で責任体制を強化するという議論の中に様々な議論があります。御指摘の連座制の強化の議論もあるわけでありますが、連座制の強化については、範囲ですとか対象ですとか、この政治活動の自由との関係において詰めなければいけない議論があるという議論が今日まで行われていたと承知をしています。そういった点についてもしっかりと考えていかなければなりません。
いずれにせよ、責任体制を強化する手法について、各党とも政治資金規正法を始めとする法改正について真摯に議論をしたいと考えます。
○谷合正明君 是非議論したいと思います。
政治資金においては透明性の強化も極めて重要であります。私たち公明党は、政治資金を監督する第三者機関の設置を検討すべきと掲げました。
参考にいたしましたのは、FEC、フェデラル・エレクション・コミッティー、アメリカ連邦選挙委員会です。FECは独立した行政機関で、政治資金収支報告の公開、法令遵守の確保などがその役割です。日本版FECをどのような行政組織にするかはこれからの議論です。しかし、いかに第三者性を確保するかというのが重要な点だと思います。
そもそも、なぜ日本版FECが必要と考えたのか。それは、政治と金に関して再発防止を議員だけで議論しても、どうしてもお手盛りとの批判が付きまとう、この際、政治への信頼を取り戻すために、政治資金を監督する独立した第三者機関が必要ではないかと私たちは考えました。
総理の見解を伺います。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 我が国における政治資金に関する議論は、政党等の政治活動の自由という観点と、もう一つ、国民の知る権利、この政治資金の透明性という観点、この二つのバランスの中で議論が行われ、そしてそれぞれの法律の現状に至っている、こういったことであると思います。
我が国においては、これ先ほど来議論が出ておりますが、総務省及び都道府県の選挙管理委員会において、この政治団体からの政治資金収支報告の提出を受けて、形式審査を行った上で毎年公表する、こういった対応が取られていますが、委員御指摘のこのアメリカ連邦選挙委員会、これについては、収支報告の公開や法令遵守の確保等の総括を担っており、収支報告書に問題を発見した場合における会計監査や現地調査などの実質的な調査権を有する組織であると承知をしています。
こういった違いがあり、こうした独立した機関を設置するということになりますと、先ほど申し上げましたこの政治活動の自由と密接に関連している、いくものでありますので、各党会派において議論を行う、自民党もこの議論に真摯に向き合っていきたいと考えます。
○谷合正明君 この議論をしていくと課題となるのは、収支報告書のデジタル化となってまいります。
アメリカのFECというのは年間約八千の政治団体の収支報告書を処理していますけれども、これは前提として収支報告書はデータベース化されているということがございます。我が国は、収支報告書はオンライン提出できるようになっておりますけれども、一〇%未満ですね、総務省届出分の国会議員関係政治団体がオンライン提出しているのは、その程度にとどまっております。
ですから、私は、このオンライン提出というようなこのデジタル化もそうですけれども、報告書を検索ができるようなデータベース化、これもしっかりと進めていくべきであると、公明党はそういうふうに提案しております。
さて、政治資金規正法以外についても私どもは提案しております。
例えば、当選無効となった場合に歳費返納を義務付ける歳費法の改正です。買収事件で当選無効となった元参議院議員には歳費と期末手当が計二千九百万円支払われ、おかしいではないかという声が上がりました。一方、地方議員の報酬返還については、昨年十二月、大阪市議を当選無効となった男性に対して、最高裁は、当選無効となった人の議員活動は大阪市との関係で価値を持たないと厳しい判決を示しました。
総務大臣に確認しますけれども、従来の総務省の見解と今後の対応方針について伺いたいと思います。
○国務大臣(松本剛明君) 今御指摘がございました訴訟は、御説明がありましたとおり、公職選挙法違反、買収で有罪が確定し、遡及して当選無効となった元市議会議員に対して大阪市が当選以降に支給した議員報酬等の全額の返還を求めた事案でございまして、本訴訟の第一審、第二審では、議員として活動した役務の対価としての議員報酬は返還の必要はないとの判断がなされておりますが、最高裁判決では、選挙犯罪により当選無効となった議員の活動は大阪市にとって価値を有しないものと評価せざるを得ないと判示し、議員報酬等の全額の返還が命じられたものと承知をしております。
総務省としては、この判決の内容を重く受け止めてまいりたいと思っております。
○谷合正明君 国会議員の歳費と地方議員の報酬は必ずしも同一視できないという指摘はあります。しかし、岸田政権発足時の自公連立政権合意には、当選無効となった議員の歳費返納等を義務付ける法改正の速やかな実現ということを明記しております。
歳費返納に関する立法措置を速やかに講じていくことも与野党で議論していくべきだと思っております。総理の見解を求めたいと思います。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の点については、自民党の中間とりまとめの中においても、各党との真摯な協議を経て、逮捕後の議員報酬の在り方などについて、政治資金規正法改正など必要な法整備を速やかに行う、このように明記をしております。
この考え方に基づいて、この政治資金規正法の改正などについて、党として考え方をまとめ、しっかりと議論を行ってまいりたいと考えます。
○谷合正明君 この点につきましては、同僚議員が質問主意書でも問うているところでございますので、しっかりと国会で議論していきたいというふうに思います。
今国会でこの政治資金規正法など法整備を実現できなければ、もう国民の政治に対する信頼というものは地に落ちていくという危機感を持っております。したがって、この国会でいかに法改正を実現していくのか、合意形成へ導いていくのかということだと思います。
リクルート事件を契機とした一九九二年、また九四年国会は、政治改革法案、関連法案、これが閣法で一旦提出されました。確認いたしますけれども、今回は閣法ではなくて議員立法か、また、今国会での成立を目指すということなのか。議員立法での成立を考えるとすれば、二〇〇七年、平成十九年の政治改革をした、実現したときの国会のように与野党協議機関を設けるべきではないかと考えます。
法制定に向けて、総理の考えと決意を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、政治資金規正法の改正については、政治活動の自由とも密接に関連する事柄であるからして、これは各党の真摯な議論を経て議員立法で行う、行われるべきものであると認識をしております。
その上で、この議論の進め方あるいは議論の場については、これは国会で御判断いただかなければならないと思いますが、与野党による議論の場が設けられた場合には、自民党としても積極的に議論に貢献したいと考えております。必要な法整備、速やかに行うべく全力を尽くしてまいりたいと考えます。
○谷合正明君 与野党協議の場を総理が自民党総裁として呼びかけていただきたいという趣旨の質問でございます。是非、そのリーダーシップを取っていただきたい。もう一度御答弁をお願いします。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 国会関係者ともしっかりとすり合わせをした上で、議論の場についても判断したいと思います。
○谷合正明君 同時に、国会の場も大変重要でございます。国会の場で真摯な議論を尽くしてまいりたい、また、公明党は、今国会で必ず政治改革を実現していく、一刻も早く政治の信頼を取り戻していくということをお誓い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございます。
第213回国会 参議院 予算委員会 第1号 2024年1月29日