(写真=スーダン南部・ジュバの復興責任者らと懇談する谷合議員)
内戦後の平和構築へ一歩・期待される日本の復興支援経験
昨年11月23日から28日にかけて、日本大使館、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の協力のもと、アフリカのスーダンを視察した。今回の視察では南部地域を訪れたが、同地域への訪問は日本の国会議員として私が初となった。
スーダンは20年を超えるアフリカ最長の内戦が行われてきた国であり、北部アラブ系住民を支持基盤とする中央政府と、南部アフリカ系住民を支持基盤とするスーダン人民解放運動・軍との南北対立が続いてきた。
しかし、昨年1月に南北包括和平合意が結ばれ内戦が終結。6年間の和平プロセスが示された。南部地域は、住民投票によってスーダン残留か独立かを決める予定になっている。
3月には、国連安保理の決議に基づき、同和平合意履行の支援などを行う、UNMIS(国連スーダンミッション)が設立。現在、50カ国以上がPKO(国連平和維持活動)に参加(日本は不参加)している。
また、UNHCRやユニセフなどの人道・開発機関も、UNMISの展開に合わせ精力的に活動しており、日本のNGO(非政府組織)やJICA(国際協力機構)も動き始めている。日本政府も、すでに50億円近くをスーダン支援のために拠出している。
私が訪問した南部地域は、道路がモトクロス場のような状態で、雨季には水の通り道となるため支援活動が停滞。現在は支援要員や物資の移動を飛行機中心で行っているが、コストがかさむため、道路整備は重要な課題となっている。
南部の拠点都市ジュバを訪問した時には、隣国へ通じる道が開通し、青空市場には生活物資が増えていた。しかし、ほとんどの幹線道路で地雷や不発弾の処理が追いつかず、いまだ安全は確保されていない。
現地住民の要望は無数にあるが、何より隣国ウガンダの反政府武装勢力の存在をはじめとする治安の確保や教育、農業だと感じた。私が訪れた難民キャンプでは、地雷を恐れて故郷に戻ることをためらう難民がいた。また別の村では学校がないため、子どもたちは学ぶことをあきらめていた。
視察後、首都ハルツームで同国の国際協力大臣、人道支援大臣と会見。私は、日本政府の支援内容を説明し、時間のかかるNGO登録の審査迅速化、ジュバへの南部行政機能の集積、自国石油資源を生かしての自立的復興・開発を要望した。
国連安保理で議論される問題の多くはアフリカに関するものであり、PKOも必然的にアフリカ地域が多いという現実がある。日本政府は、UNMISへの人的かかわりをもう少し積極的に展開した方が良いと考える。また、定員に満たずに外交業務が手いっぱいの日本大使館の増員も必要だ。
スーダンの平和構築は、国際社会そしてスーダン自体が直面している大きな挑戦だ。しかし、確実に一歩を踏み出したことは間違いない。復興への期待感は、現地住民の明るい顔が物語っていた。復興支援における日本の経験と実績は、スーダンにも求められている。今回、南部を訪れてその思いを強くした。
【手記】スーダンを視察して