先週の土曜日、京大の恩師(農業経済学)が定年退官するということで退官記念の講演ならびにパーティに行ってまいりました。講演の中で、「ゼミ生の谷合君が参議院議員として頑張っている」という紹介までしてもらい大変恐縮しました。早速、教授には、お礼を兼ねて、最近の農林水産委員会での取り組みを報告しました。
その取り組みとは、牛肉トレーサビリティ制度(牛が生まれてから消費者に届けられるまでの履歴を追跡できる制度)についてです。今、畜産分野では、アメリカ産牛肉の安全性がかなり関心を集めているわけですが、国内において、牛肉トレーサビリティ制度の信頼を揺るがす事件が、北海道で起きているのを知っている方は少ないと思います。
詳細は国会議事録を参照していただければと思いますが、畜産農家が血統書のない牛を血統書がある牛として偽って転売していたのです。牛の耳には、10桁の固体識別番号や生年月日、血統、体の特徴などが記されたタグが付いています。これを耳標(じひょう)と呼びます。トレーサビリティ制度が昨年の12月1日からすべての流通過程で義務付けされましたが、スーパーで売っている国産牛がいつどこで生まれたものなのかの履歴を知ることができるようになったのは、この耳標の情報が管理されているおかげなのです。こうしたなか、耳標を付け替えるという偽装事件が発覚したのです。
事件が明るみになったのは、この北海道だけのケースですが、他の地域で起きていないとも言い切れません。スーパーで売られている高級牛がもしかしたら普通(?)の牛かも知れないということです。
農林水産省令では、「耳標は装着した後、容易に脱落しない構造であること、取り外した後、再び装着することができない構造であること」と、規定されています。問題は、実際の耳標が、簡単に取り外しができるという点であります。また人為的に取り外さなくとも、なんと子牛の段階ではこの耳標がよく落ちるというのです。私も知り合いの畜産農家に電話で確認してみたら、耳標はよく落ちるというのです。(私もびっくり) 今回の事件では偽装した畜産農家は悪いのですが、耳標の規格が農林水産省令に適合しておらず、耳標が簡単に付け替えられるものであったことも、犯行を容易にしたという側面があります。
とにかく農林水産省には、耳標を適度な強度に改良することや、生産段階でのチェック体制を強化するなど、迅速に対応していただき、消費者の信頼維持に努めて欲しいということを、委員会質疑で訴えました。
明日は災害特別委員会で質問に立ちますので、そちらの方もベストを尽くします。
(明日は妻の○回目の誕生日。質問を終えた後に、どう祝うか考えることにしよう・・・)?
(谷あい)
【エッセー】耳標、聞いたことありますか?